講演内容
鹿児島大学で行われた公開講座。「ゲーム脳の恐怖」の著者でいらっしゃる日本大学教授森昭雄教授の講演会ということで聴きに行った。 参加者は約80名ほど。学生はほとんど見られず。教授、一般からの閲覧者が中心だった。 講演会場の事について。 向かって左側に森教授が座りつつ解説。PPでスライドを用いつつ説明。右側には司会の方。
文章に起こすのは至難の業だったので音声のまま配布することにする。また、この配布に問題がある場合速やかにサーバ上から削除する事にする。 容量948KB。時間2時間6分 gamenou_no_kyoufu.mp3 ディスク上に保存したい場合はWindowsの場合右クリックから「対象をディスクに保存」を選択する。 サーバー負荷軽減のため出来るだけ保存して再生するようにお願いします。
この講演会で話された基本的な事について連挙する事にする。ほぼ時間軸に沿ったものになっている。「○」の横は話が始まった大体の時間を示しているがあっていない可能性もある。
○10分 ゲーム脳という言葉が初めて登場したのは2002年7月8日の毎日新聞 その後諸外国から報道時間が意見を聞きに来たが10日にモンゴルに行き、大草原で暮らす子どもたちの脳波を測定する予定があったのでそれらはすべて電話で対応した。
○25分 脳は2歳までに急速に発達し、10歳ではほぼ発達は完了する。 また発達は遺伝的要素が60%、環境的要素が40%となっている。動物が遺伝的要素が100%と考えると人間は環境によるものが大きい。 その影響か最近では自閉症の子どもが増えてきている。岡山ではおかしい子どもが増えているという結果が出てきている。(※1)
○41分 事故で前頭連合野を失った青年の話。鉄パイプが前頭連合野を直撃しその部分だけ無くなったが奇跡的に生存。 事故前は勤勉でまじめな青年だったが、事故の後から計画性が無くなり、感情表出が子どもっぽくなりすぐにキレ始めた。 亡くなった後墓を掘り起こし、頭蓋骨を調査。現在大学で鉄パイプとともに保存されている。(フィネアス・ゲージの話)
○44分 α、β波の測定結果を見せる。 ABCDの4タイプがあり順に「ノーマル脳」「ビジュアル脳」「半ゲーム脳」「ゲーム脳」と呼ばれる。詳しくは教授の著書を参考とか。 グラフに関して。 波形グラフで途中からゲームをさせ変化を調べる。グラフの記述方法については積分を用いた方法と説明があるが詳しいことは分からず。(※2) Cの症状としては ・ぼーっとしている。 ・しゃべらない。 ・笑わない。 ・突然暴れ出す。 以上が主な症状。これが進行するとゲーム脳となる。
○53分 VIXで画像をスライドショーで表示し、活動している部分を見せる。(左脳と正面写真が中心。右脳については時々) ここで出たことでは ・ゲームをすると前頭連合野が活動しない。 ・読書すると脳全体が活発に活動する。 ・音楽では顕著に見られない。 ・漫画は活動しない。 ・ゲーム脳の人でも読書をすると活発に活動する。 ・ゲームをしてから1時間程度は脳が活動しないため勉強しても見ているだけ ・ゲームは1日15分。休日は30分でも良い。 その代わりその3倍の量の本を読み、感想文を手書きで書くようにすればゲーム脳にはならない。
果物の名前を順に言っていき、前の人たちが言ったことを憶えていく(1番目の人が林檎と言ったら2番目の人は林檎・蜜柑。3番目の人は林檎・蜜柑・バナナ、といった感じ) ゲーム脳の小学生はひどい子どもで1周したら忘れて大変なことに。ノーマル脳の子どもは20個ほど憶える事ができる(※3)
○1時間12分 ゲーム脳は回復する。 ある子ども(友人からゲーム脳じゃないか、と言われた)が友人の紹介で来たがゲーム脳ではない。笑っており、脳波に異常もない。 すると薬を服用しており薬飲まないでいると暴れて壁が穴だらけになるよ、と発言。今度薬飲まないで来ようか、と言われたが断った。 顔の表情とβ波には関係があるのではないか。
ゲーム脳はお手玉をすることで回復する可能性がある。ただし、3個以上でしないと意味がない(※4) 2週間後通常まで戻ったがストンと落ちて安定しない。3ヶ月後落ち具合が少なくなった。6ヶ月後100回以上お手玉ができるようになった頃ノーマル脳に戻る。
テトリスは旧ソ連で使われた軍事用のもの。ゲームで前頭連合野を破壊し、正常な考えができなくなる。そして人を殺すことをためらわない兵士を作り上げた。 幼少期からテトリスをしていた子どもは人を殺して当たり前。
○1時間18分 ゲームをすると特に右脳の機能が低下する。
○1時間24分 携帯のメールもゲーム脳と同じ状態になる。 指がよく動き、漢字が思い浮かばなくなったと心当たりがある人はゲーム脳の可能性がある。
○1時間25分 チャットの例を出す。佐世保の小学生殺傷事件の原因と言われている。 チャットをすることで右脳の能力が低下し、相手の事を思いやったりする機能が低下する。
○1時間27分 脳はシナプスの強化で物事を憶える。 以前脳は興奮することで伝達をすると考えられていたが沈静化する物質もある。これをセロトニンという。 ゲーム脳の人はセロトニン欠乏症になっている。 ここでもお手玉の話が出て、3個以上ですることを強調。
○1時間31分 赤ん坊の例を出す。 子どもに2時間から4時間TVを見せてその間に仕事をしていたら子どもが笑わなくなった。TVを見せないようにし、しばらくすると笑顔が出てくるようになった。 TVの音声・映像は無意味な者を垂れ流しにし、その意味が分からないため学習しない。 話しかけ(例:象の鼻の話)をすることで意味が分からないでも理解しようとし、口の動きをまねしようする。このことで学習効果がある。 絵本の読み聞かせについてはこれ以上の効果がある。
これらの講演の後質疑応答が行われる。詳細な部分については記憶していないので(※5)メモ帳に書いてあることを中心に書く。ついては上記のmp3データを参照。
質疑応答
○1人目 Q.自閉症の患者との関わりはどうなのか。 A.専門では無いのでよく分からない。岡山において先天性の自閉症患者は1/100人と少ない。TVを見ている子どもは自閉症気味になる傾向がある。
○2人目 Q.ゲームをすることが危ないというが、それを止めることができない。やりすぎなければいいのか。 A.目安としては15分。あとは前に言ったとおり(読書と読書感想文を指す)
○3人目 Q.読書感想文のように文章を考える事がいいとならばメールもいいのでは。 A.おっしゃる通り。メールでも文章を俳句調にすることで効果がある。 私は今まで1回しかメールを送ったことがない。直接会って話すようにしている。
○4人目 Q.出力の方法について(声、文章などのこと) A.文字出力より音声出力を多くする事でゲーム脳にならないようにする。よくしゃべる事が大切と言える。 このことを2年前ゲーム会社に指摘し、太鼓のゲームやダンスするゲームなどが出てきたと説明。(※7)
○5人目 Q.パソコンが駄目と言っていたが、講義で何時間もパソコンを使う事があるが大丈夫か。 A.電磁波の影響は心配だが、教授は防止用のものを使っているので大丈夫。ちなみに10数台パソコンを所有しているとのこと。 トイレとか行く時間は無いのか?あるんだったらその間にさぼれば良い。 パソコンする(※6)と20分で右脳の機能が低下する。長くても50分が限度と言える。
○6人目 Q.小学校の教師をしているが生徒にゲーム脳の可能性がある生徒がいる。 授業中にも隣の生徒にちょっかいを出したり、ゲームなどあるチャンバラをし始める。長い棒が好きですぐに始める。 またアスペルガー症候群との関連性は?(※8) A.前者の生徒はゲーム脳の可能性があり、機器があればここで調べる事もできるが今回は無い。 後者についてだがよく分からない。
○7人目 Q.高校の非常勤講師。生徒も著書を読んで怖いと言っているがどうしたらいいのか具体的には分からないでいる。 A.やはり直接しゃべる方が良い。教授は特にこの事を強調。 またアメリカに行ったが携帯で電話をしている人はいるがメールをしている人はいない。 おそらく似変人はメールね会話という考え方をしている独特な気質があるのではないか。 メールはゲームと同じにトータル15分ぐらい。ちょっと遅れるぐらいだったらチョコレートでも、と難解なダジャレを発言。
○8人目 Q.将棋、囲碁と言った指先だけ使い、黙ってするゲームもある。これがTVゲームとして出ているが違いはあるのか。 A.指先だけで無く、腕を動かすことに防止する効果がある。 またゲームは最初慣れないうちは良いが上手になるとパターン化してしまいゲーム脳になってしまう。
※1 後の質疑応答で説明 ※2 実験で用いたゲームの種類については発言無し ※3 単位が違うため比較できない ※4 片手で2個では駄目なのか? ※5 たぶん自分もゲーム脳と実感 ※6 どういう作業を指しているかは不明 ※7 ダンスゲームDDRが出たのは98年以前。太鼓の達人は00年頃だったかと。 ※8 高機能自閉症の中でも正常に近い症状を指す |